中年のためのライブの楽しみ方



音楽の好きな人、また過去に音楽をやっていた人、でも気がついてみればスナックで演歌のカラオケを唄っている中年のおっさん、おばはんになっている人はいませんか?
実は私もその一人だったのかもしれません。あの楽しかった青春時代に別れを告げて一人の社会人、家庭人になってふと気がつくと仕事や子育てに追われていたときには感じなかった少しの空しさを最近感じることはないでしょうか。なにもかも忘れてビートルズやストーンズを聴いていた自分。コーヒー一杯で何時間もコルトレーンやマイルスをジャズ喫茶で聴いていた自分。グループサウンズにキャーキャー言っていた自分。真剣にプロのミュージシャンになろうと思っていた自分。あの時代に戻りたいと思っている人はいませんか?青春は終わったんだと一人で納得している人はいませんか?でもあの時の自分も今の自分も周りの環境が変わっただけで本質には変わりはないのです。青春はどこで終わるのでしょう。それは自分の心の中の問題です。線を引いているのは自分なのですから。
つきあいでカラオケで演歌を歌ってて何か違うと感じているあなた。近所のおばはんと世間話をだらだらとしていて何か違うと感じてるあなた。思い切って別の世界に飛び込みましょう。もう十分仕事も子育てもしたのです。これからはあなたの人生を楽しむ番です。こんな所でインターネットやっている場合でもないのです。
それでは早速街に繰り出してライブハウスに行ってみましょう。でもどこへ行けばいいのでしょう。困りました。その前に本屋さんに行ってみましょう。そこには便利な雑誌があります。いわゆる情報紙というやつ、あれです。「ぴあ」とか「L MAGAZINE」とかを買って来ましょう。そして一度家に帰ってその本をじっくり読んでください。そこにはあなたの街のライブハウスが紹介されていることでしょう。そこであなたの好みの音楽、たとえばJAZZでもROCKでもBLUESでも何かを選んでください。最初はわかりにくいでしょうからあてずっぽでもかまいません。それかそのライブハウスに電話をかけて聞いてみるのもいいでしょう。
さて、目的のライブが決まりましたら、家のことはほっといて早速電車に乗りましょう。時間があれば先ずどこかで腹ごしらえをしましょう。その時には必ずビールの一本ぐらいは飲んでください。ライブハウスにも飲み物や食べ物は有りますが(ライブチャージとドリンクまたはフードを要求されることが多い)あまり期待しない方がいいでしょう。ライブハウスの名誉のために言っておきますが料理のおいしい店もたくさんあります。そしてほろ酔い気分のまま目的地に向かいます。ライブハウスの扉の前に立って気分を落ち着けましょう。この扉の向こうにどんな世界が広がるのか期待と不安を胸に秘めて扉を開けましょう。ここでおどおどしてはいけません。自分はこんなとこ何度も行ってるんだとという気持ちで入ります。まずライブチャージを払います。そして店の中へと入るのですが、先ず気になるのはそこにいるのは自分より若い人がほとんどであるということです。そして彼らが「このおっさん(おばはん)何しにきよったんや」というような視線を自分に向けているような錯覚を感じます。でも本当はだれもそんなことは思っていません。ですから気を取り直して目的の席を探します。最初はなるべく後ろの方がいいでし、。最初から前の方へ座ると音は大きいし疲れるかもしれません。そして後ろの方から客の動向を観察するのが目的でもあります。
さてライブが始まります。最初はあまりの音の大きさに驚いてしまうでしょう。でも10分もすれば慣れてきて心地よい気分になってきます。ここで心地よくなれない人は誤った選択をしたと思って別の趣味に乗り換えましょう。心地よくなった人はもう心配いりません。生の音楽を存分に楽しみましょう。音楽というものはもともと生身の人間が演奏してそれを生身の人間が聴くものですから、演奏している人間と聴いている人間の両方が気持ちよくなっていい音楽が完成されていきます。ですからライブというものは客の方にも一つの責任が生まれてくるのです。ミュージシャンはあほですから(失礼)乗せたらなんぼでも乗ってくるのです。どのように観客がミュージシャンを乗せるのかといいますと、まずビートを感じたら体で表現しましょう。つまり体をリズムに乗せて動かすことです。そしていい演奏だと思ったら拍手したり声を掛けましょう。まずは他の客の動向を確かめながら声を掛けたり拍手したりしましょう。タイミングを外すとしらけますからね。そうそう、慣れてきましたね。これであなたも一人前のライブマニアになれました。ライブが終わると少し疲れたかもしれません。でも自分の体や心が何か軽やかに感じるとと思います。それでいいのです。音楽聴くのに何の難しい理屈はいりません。自分が気持ちよくなる、これが一番大切なことなのですから。
もう一つライブの楽しみがあります。それはライブが終わってからのことです。ライブが終わると大抵ミュージシャンがホールにきていろんな人に声を掛けているのです。それをじっくり観察しましょう。その人のひとがらがよくわかります。ミュージシャンは舞台の上ではいかつい、怖そうな人でも実はシャイでやさしい人がほとんどです。そういう姿を見るとまたそのミュージシャンが一段と好きになったりしてきます。管理職のあなたなら若者に支持される人間像がわかったりするでしょう。そして帰るときにはそのミュージシャンに「ありがとう」といって帰りましょう。きっと「ありがとうございました」と彼らは答えるでしょう。一日の終わりの何げない一言があなたとミュージシャンの間に何かをもたらすきっかけとなるでしょう。
お気に入りのミュージシャンができれば何度もそのライブに出掛けましょう。例え同じ曲でも自分の心の状態やもちろんミュージシャンの状態によってもずいぶん違って聞こえます。そしてほんとに良かったと思ったらそれをミュージシャンに伝えてください。きっと彼らは喜ぶでしょう。
CDを聴いているだけではわからない、音楽を通じての人と人との関わり合いや出合いがライブにはあります。またそれがライブの醍醐味でもあります。これを読んだおっさん、おばはんはいますぐライブに出掛けましょう。


Shoichiro Yamaguchi
メール下さい(ymgc451@mbox.kyoto-inet.or.jp)


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