やまなみ工房について


 滋賀県と三重県の県境、甲南町にある知的障害者の通所授産施設。1986年、通所者三人で無認可の共同作業所として出発し、現在は10代から60代までまでの三十人が通う。六割は25歳より若い人達。男性が若干多い。JR京都駅から東海道本線上りで七駅目、草津線に乗り換えて六駅目。ざっと一時間で「甲南駅」に着く。駅近くの民家、旧町役場の一角、2キロ程離れた山村地区・稗谷(ひえだに)を転々とし、1997年夏に、町が福祉ゾーンとして提供した葛木(かつらぎ)地区へと移転してきた。社会福祉法人やまなみ会として認可されたもので、駅からとほ15分、町を見下ろす立地にある。所長の山下勝也さん(55)は、入所施設で20年勤めたあと、「”作業”でなく”労働”として働く場づくりを」と模索し、絵画や作陶を”労働”にくみこみつつ、畑仕事や散歩も同列に見て大切にしてきた。布製品を作る布工房「こっとん」、木製品を作る木工房「もくもく」、紙製品や食品を作る上工房「ぷれんだむ」と、ゆるやかながらグループごとに、下請けでない自前の製品づくりをすすめている。グループの一つ「ころぼっくる」は工芸品にとどまらない、陶芸家や絵描きの創作物を作る意思が強く見える。絵画教室として画家や美術家が通うわけではなく、スタッフの一人、山下完和(まさと)(31)さんが指導員として、七人のメンバーと関わっている。

〒520-3321
滋賀県甲賀郡南町葛木872
TEL 0748-86-0334

「ころぼっくるの手」
野寺夕子(文・写真)
財団法人たんぽぽの家発行より引用
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